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Mitsuko Onodera
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2008年 夏の香港紀行55 <蓮香樓 その2>

わ〜ん、香港のジーッと人を見る視線には慣れているというものの、半径3mくらいの人々がみんな

手を止めて射るように睨まれるのには慣れていません。

でも、常連さんからしたらいつものゆるりくつろげる時間に紛れ込んできたよそ者、異物でしかな

いわけで...。(早朝6:30〜7:00の地元常連客の朝食タイムだからだと思います。座席も、顔ぶれ

もほぼ毎日定番のようです...!日本人客もよく来ているはずの有名店だから店員さんは愛想も良く

て慣れていますが、特別扱いをするわけではありません。)

こんなときはやはり礼儀正しく「恐れ入ります、ちょっとおじゃまさせて下さいね」な態度でいく

しかありません。目上の方ばっかりだし。

「早晨(お早うございます)...」とテーブルのかたがたに挨拶すると「おおっ、日本人が広

東語で喋ったー!」「早晨って言ったぞ」と目の前で話題にしてうなずき合います。

お店の人にお茶を何にするか訊かれて「普洱茶(ポ〜レイツァー)」と答えれば相席の人たちは

「おい、日本人が普洱茶って言って注文したぞ!」「ほんとだなー」という具合。「唔該、一個大

包」というのも小さな声で言ってみた...。

そしてカチャカチャと並

べられたのがこのお茶

セット。昔ながらの茶樓

なので、大きめのボウル

で湯呑み茶碗を「洗杯

(サイプイ)」しまぁす

...どうやるんだっけ...。

(左奥に見える台形のボ

ウルが洗杯用の盅/チョ

ン。)

※注文を聞くと、こういう紙をテーブルにはさん

でいきます。注文するたびにスタンプして、あ

とでレジで精算するのです。

不安に思ったことは人に訊くのが一番と思って顔を上げる

と、みんな私が次にどうするか身を乗り出して見ています。

(もう、コメディー映画ばりの光景...!)

隣のおじさんに「どうするの?」と手振りで聞くと、こうし

てお湯の中で湯呑みを回して...といそいそ教えてくれま

す。

そこからは堰を切ったように、みんな交互に「広東語を話せるのか?」「香港は好きか」「何回香

港に来たことがあるか」...など質問が飛んできます。知っている限りの広東語(すごーく少ない)

で返事したり説明したり。

すっかり和んだ空気になりました...が、あなたにも少しばかり超ローカルな場の空気をおすそ

わけしましょう♪(↓クリックすると、大きくなるのだ。大きくすると、わずかですが臨場感が違い

ます。)

なかなか「大包(大きな中華まん)が来ないなあ...とキョロキョロしたら、3人そろってお店の人に

「この人に早く『大包』持ってきてあげてね!」と声をかけてくれました。

きたきた...でかっ!

ほっかほか〜。

ほわ〜んと湯

気が上がる!

なんと、プリプ

リのエビや卵入り♪

なにより、肉が

「挽肉」ではな

く、包丁で叩い

たような弾力が

あってうま〜い。

(大きいし。)

「で、味はどうだい?気に入ったか?」

「うん、幸せ〜。おいしいです〜。」

「それじゃ足りんだろう。もう一つ頼むものは腸粉だよなやっぱ

り。お〜い、この人に腸粉一皿!」

...って、おじさん。私のものを勝手に頼むんじゃなーい!(支払い

はもちろん私だし...。)大包一つで早朝のお腹はいっぱいになりそ

うでしたが、確かに香港についてからまだ腸粉を口にしていなかっ

たので、まいっかー。(腸粉は素早くお腹の中に消えてしまい画像

ナシ...。)

「お茶はこういう蓋碗(ガイワン=フタ付きの茶碗で、これを急須

がわりにして湯呑みに注ぐ)で頼めば良かったのに。多すぎるで

しょ、次来たらアンタもこういうので頼みなさいね。」

「は〜、確かに。」

お店の中の様子です。

湯気の上がるワゴンが行ったり来

たり。

お洒落してくる必要もなく、いつ

もの仲間や家族とのんびりお喋り

したり、新聞を読んだり。

いいもんです。

お腹いっぱい。これから空港に向

かうまでの間思い切り歩き回るつ

もりなのですが、大丈夫だろう

か。

階段手前にあるレジで精算。親切にしてくれた人たちにお別れの挨拶をして、さあ、一日の始まり

です。

外に出て歩きながら考えたので

すけど、私にとって射るような

視線や好奇心、人の顔をジロジ

ロ覗き込むようなのはそれほど

気にならないのでした。コミュ

ニケーションをとればいいか

ら。

見て見ぬ振りをすること、人を

まるで居ないみたいに無視する

ことのほうが妙だな、と...。東

京の地下鉄の乗客の、冷えきっ

た目つきや死んだような表情を

見るにつけ、『いきもの』とし

てどうなのかなあ...と心配にな

るんですが...。

about 16 years ago 0 likes  2 comments  0 shares
Photo 71622
to nimunimu 昨日、横浜中華街で香港や台湾好きの友人たちと話していました。 日本を出るとやっと自分が何人でもよく、誰かから何かを「ちゃんとやっていない」と責められたり、つまらないことで人を見下したような目で睨まれたり、イライラされたりしなくて済む...自分のまんまでいいんだと思うよ...と、口々に言っておりました。 「こうでなければならない」『こうあるべきだ」「人と比べて馬鹿にされたくない」というのが蔓延してる気がして、息苦しいんだな〜。 もっと現状のいいところを満足して、しあわせを実感してもいいとおもうんだけど。 それだけに、もっともっとみんな海外に行くといいと思ったりします。
about 16 years ago

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