解凍したその鶏足は、冷蔵庫のちょうど目の高さくらいのところにありました。
何か飲むものを....と、ヨロヨロと扉を開くたびに、かなりのカサの色白の足たちが「まだぁ?」と
私に迫る(ような気がする)のです。
見なかったことにしよう...と布団に戻るも、気分はこ〜んなかんじ。↓↓
なんてったって、足ですから。34〜6個、単純に計算して17〜8羽分のニワトリさんです。無駄にせ
ず食べたい気持ちもあるけれど、病人らしく寝ていたくもある....。だってダルい。
結局、気にしているよりはさっさと作ってしまったほうがスッキリした気分で眠れるというので、
立ち上がったのでありました!
それにしても、10代の頃はイカの目玉が怖くて、一生イカなんか調理しないだろうと思っていた
のが懐かしい...。
ところで、以前書いたかもしれませんが、某・老舗中華料理店『H珍樓』のオーナー夫人J子さん
(*注)とお話ししていてとても心に残ったことがあります。(*注):J子さんは、オーナー夫人としてのお仕事の他、エッセイストとしても御活
躍中。以前、マンガ『美味しんぼ』の編集者だった方です。とってもチャーミングな女
性!中華料理では、日本ではあまり馴染みのない素材を扱ったり、生きているものを捌く場面もかなり
多く目にします。たとえ少々動揺しても、J子さんはそれを何一つ顔に出すことはないといいます。
「見たことのない素材や味、匂いでも、その土地に根ざした料理だったら、多分ほとんど好き嫌い
なく大丈夫かも」とか、「もし、自分の国や土地の伝統の料理に、外国から来た人が『ゲェーッ、
いやだぁあんなもの食べて』と言われたらどんな気持ちがするかなあ。慣れていないから、食べら
れないということはあるかもしれないけれど、それを軽蔑や批判の気持ちにすり替えたりするとお
互い友達にはなりにくいですよね」というような話をしていたとき。
J子さんが「それが『食べ物』かどうかというのは、その人が頭で決めていることでしかないんで
す」ときっぱり。
ほんとだな、その通りだな...。
そういえば、自分が作り慣れない料理に挑戦する理由は、ただ日々の食事に変化を付けたいからで
はなくて、自分の価値観とか常識の枠をちょっと押し広げてみたい....枠の一歩外に出てみたい....と
いう興味からだったことに思い当たりました。今まで無自覚だったけれど。
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