胸にずしん、と来た。
私の心はずっと倦んでいて、膿んでいて、その他者への軽薄さにそろそろ頭がきていた。
「軽薄だ。」
と言われ、ずしんと胸が痛み、胸の痛みを消す為にその言葉を消す為の理由をしばらく探した。
色々出てきたけど、これが一番。
『誰にも私の気持ちなど分かるはずがない』
そう、分かるはずなどないのだ。
他人だもの。
私の体も心も持っていないもの。
“私には私のやり方があるのよ。”
でも、そのやり方で結局倦んで、膿んでいたことに気付くばかり。
気付いてしまえば、もう後戻りは出来ない。
胸は正直に痛んだのだ。
片目を閉じて、霞んだ、歪んだ自分だけの曖昧な世界をもう知っていた。
軽薄だったのだ、そうだ。
私の愛するもののすべてに。
ちゃんと見ようともしていなかった。
私も、私の世界もちゃんとそこにあって、毎日動いていたというのに。
何かのせいにして、動かずじっ…としていると心が膿んでゆく。
膿んでは乾いてカリカリになり、それを引っ掻いては、また膿んでカリカリになるのその繰り返し。
じくじくと痛い、痒い。
膿んだそこは、なかなか治らない。
突き刺さるような胸の痛みは、少々の血と涙を伴うけれど、抜けたときの鋭い穴は案外早くふさがったりする。
「軽薄だ。」
荒療治な愛する人の言葉。
愛してるからこそのタイミングと温度。
決して温かくはないが、時に冷たい水を頭から指の先まで浴びるような、
目が覚めるような、
そんな思い。