閉じて、閉じて、
見える人。
左目のほうが若干、
視力が悪くてもそれもご愛嬌。
右目を閉じた左目の世界には、
当たり前のように左のものが良く見える。
夕暮れにサイダーを飲みながら、カランコロンと空いたグラスの氷が空をみる。
空ばかりみていたら、いつのまにか自分の身体が溶けて、溶けて、そして、
『まいったな、夕暮れになってしまったじゃないか。』
ぽそり、カラン…呟く。
『まぁ、憧れはあったし、溶けちまったもんは元には戻らねぇし…』
頬杖をつく、ついた先から溶けだす…コロン。
『まぁまぁ、いっか』
全部溶ける前に口にするのをやめて
小さな音をたてながら、
つめたぁい、つめたぁい
夕暮れに戻ろう。
左目の夕暮れは、
カランコロン…
耳の奥、遠く涼やかに。